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日本酵素栄養学協会からお伝えしたいこと4.身体を整える

私達は皆様の健康の為に、酵素栄養学に基づいた「食」に関する様々な情報をお届けしております。なぜなら「食」は心と身体を整える為のすべてのことに関わっているからです。ただし、心と身体を整えるのに必要なことは「食」だけではありません。
このコーナーでは「食」と共に健康にとっての大切な要素である「身体を動かすこと」のなかから、心と身体を整えるボディワーク(身体技法)について述べさせていただきます。

悩み事を抱えているときには身体の調子もすぐれないし、逆に身体に痛いところがあったりするとなかなか明るい気持ちにはなれないものですよね。これは皆さんも実感されていることだと思います。昔から、心が病むと身体も病み、身体が病むと心も病むと言われてきました。

心と身体は表裏一体、どちらも大切ですが、身体に働きかけることで身体と心を整えていこうとするのがボディーワーク(BW)と呼ばれる身体技法です。BWという単語はいろいろな意味で使われていますが、ここでは身体を動かすことで心身を調和させる技と考えてください。皆さんもご存じのヨガや気功、太極拳、各種健康体操なども広い意味ではBWと言えるでしょう。
なかでも呼吸を使ったBWは呼吸法と呼ばれ、とても効果的ですので、これから呼吸法について書いていきます。

読むのが面倒だったり、時間がない方は「ここから、実践編です。」に飛んでください。

呼吸のやり方が呼吸法ですが、そもそも呼吸とはなんのことでしょう。

人が生存する為にまず第一に必要なものは何か考えてみましょう。水、食べ物、愛etc.、人それぞれいろいろな項目が思い浮かぶことでしょう。ただ、とりあえず生存することだけを考えた場合、やはり空気が一番必要ではないでしょうか。水、食べ物、空気なしで人はどれだけ生きられるかについては諸説ありますが、サバイバルの分野で有名な「人の生存の目安“rule of threes”(3の法則)」によると、人が生存できるのは、水(飲水)なしでは3日間、食糧(摂食)なしでは3週間、空気(酸素)なしでは3分間ということになっています。それほど大切な空気ですが、その空気の出し入れが呼吸です。

まずは、呼吸に関する基本事項についてです。日ごろ良く耳にする腹式呼吸や鼻呼吸などについて簡単に説明させていただきます。
中学時代の理科や高校のときの生物があまり得意ではなかったり、嫌いだったりした方も、ここを押さえておくと呼吸法についての理解が深まりますので、しばらくお付き合いください。(もちろん、これらのことを知らなくても呼吸法は活用できますが・・・。)

呼吸に関する基本事項

酸素を取り入れて、二酸化炭素を排出する働きのことです(ガス交換と言います)。

外呼吸(肺呼吸) 肺で体外の酸素と体内の血液中の二酸化炭素とを交換します。
内呼吸(組織呼吸) 体内の各臓器や末端の組織で毛細血管中の血液と細胞の間でのガス交換です。

※ 呼吸法で対象としているのは外呼吸です。

呼吸器(呼吸の為の臓器) 鼻腔、咽頭・喉頭、気管、気管支、肺(肺胞)、胸郭
呼吸筋(呼吸の為の筋肉) 横隔膜、外肋間筋、内肋間筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、内・外腹斜筋、腹横筋、腹直筋 (図を参考にしてください、もちろん、覚えなくて結構ですよ。)

※ 肺は自分では動くことができません、呼吸筋によって動かされています。

鼻呼吸と口呼吸

鼻呼吸 鼻でする呼吸のことで、鼻鼻呼吸(鼻から吸って鼻から吐く)、鼻口呼吸(鼻から吸って口から吐く)があります。
通常は鼻鼻呼吸、呼吸法などしっかりと息を吐きたいときには鼻口呼吸を使うと良いでしょう。
鼻呼吸では鼻腔(鼻の穴)の鼻毛、繊毛、粘液で外気に含まれるウィルスや細菌、ゴミなどが除去されます(鼻のフィルター作用)。また、適度に加湿され、温度も調節されるため、肺でのガス交換がスムーズに行われます。
口呼吸 口でする呼吸
口には鼻のようなフィルター作用や加湿、加温作用はないため、肺でのガス交換がスムーズにいきません。
扁桃腺が乾燥したり感染したりして、免疫力が落ちます。

腹式呼吸と胸式呼吸

腹式呼吸 横隔膜をしっかりと使った呼吸で、横隔膜の上下動によりお腹が膨らんだりへこんだりするので腹式呼吸と呼ばれます。

メリット
  • 肺胞(肺の中でガス交換がおこなわれる部分)は肺の下3/1に多く存在します。
    腹式呼吸ではこの部分までしっかり使われるので、ガス交換の量が増えます。
  • 腹式呼吸で吐く息を長くすると、副交感神経が刺激されリラックスした状態となり、精神的にも安定します。
    (吐く息は副交感神経を刺激し、吸う息は交感神経を刺激します。)
  • お腹の動きが中心となるので重心が下に安定します。(上虚下実といいます。)
  • 横隔膜が上下することで内臓をマッサージすることになります。
胸式呼吸 肋間筋を使い肋骨の上がり下がりによる胸の動きを中心とした呼吸。
肺の下部の肺胞が使えず呼吸が浅く速くなりがち。肩や上半身に力が入りやすく、重心も高くなりがちです。

さて、呼吸は私達が生きていく上でのもっとも基本となる生理現象です。生まれてから死ぬまで休むことなく呼吸を続けています。ですが多くの方は日頃なんら意識することなく呼吸をしています。ところがその呼吸を少しだけ意識して行うことで、心と身体の調和をはかり、心の不調、身体の不調を改善することができます。そうした呼吸の素晴らしい効果に気付いて、その効果を十分に生かそうとしたときに呼吸法というものが生まれます。

自律神経は体内環境(血圧、体温、体液のpH、水分量など)を一定に保つため、各内臓器の活動(心拍数、腸管運動など)をコントロールしています。自律神経は交感神経(身体を活発化させたり興奮させたりする働きをする)と副交感神経(身体をリラックスさせる働きをする)がバランスをとり合って働いています。自律しているわけですから当然自分の意思で自律神経をコントロールすることはできません。ところが、呼吸だけは自律神経と体性神経(自分の意志でコントロールできる)の両方の支配を受けています。この特性を利用して自分の意志の力を、自律神経に作用させることができるのです。ですから、呼吸は心身の調和の鍵となるのです。どんな状況であっても呼吸に意識を戻すことで心と身体を整えることができます。

一口に呼吸法と言っても、世の中には実にたくさんの呼吸法があります。禅を始めとする仏教系の呼吸法、ヨガ系の呼吸法、気功系の呼吸法、格闘技系の呼吸法、健康体操などの呼吸法、生理学や心理学を応用したブレスワークと呼ばれるものなどなど・・・実にさまざまです。

また、一つ一つの技法をとってみても、同じ技法にヴァリエーションがたくさんあったりして、膨大な数になります。

全部を覚えることはありません。自分に合った有効なやり方を学び、呼吸を見方につけましょう。
参考までにいくつか挙げてみます。

ここから、実践編です。

呼吸法を行うときのポイントは次の4点です。自律神経を調整して心と身体を整える為にもしっかりと押さえておきましょう。

  1. 息を吐くことが大切。息をゆっくりと長く吐くことで自律神経のリラックス系の副交感神経を刺激することができます。活性系の交感神経が常に刺激されている現代社会では副交感神経をしっかりと働かせてバランスを取ることが特に大切です。副交感神経は内臓に関しては活性系に働くので消化排泄が促進されデトックスが進みます。
  2. 鼻呼吸をする。鼻鼻呼吸(鼻で吸って鼻から吐く)、鼻口呼吸(鼻で吸って口から吐く)いずれにせよ、吸うのは必ず鼻からです。吸い込む空気の浄化、加湿、保温の為です。
  3. 肚(はら)でする。息を吐くときにお腹を凹ませ、吸うときにお腹が膨らむ、いわゆる腹式呼吸をします。呼吸の為の筋肉の主役である横隔膜が大きく動き深い呼吸ができます。酸素の取り込みが良くなり、血流も良くなり、腸を初めとする内臓の働きも良くなります。
  4. イメージを使う。基本は息を吐くときに自分の中に滞っている悪いエネルギーを吐き出し、吸うときに自然や宇宙からの良いエネルギーを取り込むイメージを持ちます。呼吸に合わせたいろいろなイメージを使うことで呼吸法の効果が上がります。

具体的な呼吸法を3つあげます。是非お試しください。

ハ~ホ~フ~丹田腹式呼吸法

  1. ① 仰向けになり両膝を立てます。
  2. ② 丹田(身体の中の強力なパワースポット。へそから自分の指幅4本分くらい下のお腹の中。)の上に女性は右手を置いてその上に左手を重ねます。男性は左手が先で右手が上です。(陰陽のバランスでそういうことになっていますが、迷ったらどちらが上でもOKです。)お腹をへこませながら(おへそを床にくっつけるイメージで)口から息を「ハ~」と吐いていきます(一気に吐かず柔らかく少しずつ吐く)、3/1くらい吐いたところで口を少しすぼめて「ホ~」に替えてさらに3/1くらい吐き、最後に唇の端を横に引く感じで「フ~~~」に替えて細く長く吐ききります。
    「ハ~、ホ~、フ~~~」と区切らずに、「ハ~ホ~フ~~~」という感じで連続して吐いていきましょう。
    それぞれ3/1くらいずつ吐くと書きましたが「ハ~」と「ホ~」を沢山吐くと息が続かなくなるので気持ち短めに吐いて最後の「フ~~~」を長めに吐き切ります。
    ポイントは強く吐くのではなく、柔らかく、細く、長く吐くことです。
  3. ③ 吐き切ったら口を閉じ、無理に吸おうとせず鼻から空気が入ってくるのにまかせます。お腹が自然と膨らみます。(吐く息が長く、吸う息が短くなります。)

要領をつかめば椅子に座っても、また立っても同じように行うことができます。
基本となる呼吸法でデトックスだけでなく様々な場面で活用できますので是非身につけてみましょう。

痛み・不調・滞りを流す(デトックスする)呼吸法

イメージを使った呼吸法です

  1. ① 痛んだり、滞って毒素が溜まっていると感じられる部分や、痛み、毒素そのものを黒い氷の塊とイメージします。
  2. ② 吸う息と共に吸い込んだ太陽のエネルギー(光と熱をイメージします)で黒い氷を溶かし、吐く息と共に体の外に流していきます。

腹式呼吸で行いますが、吐く時にこのときは細く柔らかく吐くのではなく、少し力強くハァ~と吐いていきます。
エネルギーを滞りや不調のある部分で直接呼吸と共に出し入れするやり方と、エネルギーを丹田で吸い込んで体の中を通して患部に流していって吐く二通りのやり方があります(写真2では丹田で吸いこんで腕に流しています)。自分でやってみてイメージしやすい方を選んでください。

お通じを良くする呼吸法

デトックスの一番手ともいえるお通じ。毎日のお通じは健康にとっての必須条件ですね。 もちろん便秘は、酵素食や睡眠、運動を含めたライフスタイル全般の問題であり、その改善が必要ですが、呼吸法も有効です。

  1. ① 便座に座ったらおへそが落ち込まないように背すじを真っ直ぐにします。排便の際は少し前傾した方が腹圧をかけやすくて良いのですが、呼吸法のときは真っ直ぐです。
  1. ② ゆっくりフ~~と息を吐きながら、下腹に重ねた両手で軽く圧をかけながら、おへそを中心に左回りに下腹、右脇腹、みぞおち、左脇腹と撫でていきます。
  2. ③ 一周したら息継ぎをして10回くらい繰り返します。ポイントは吐く息に合わせてゆっくりと行うことです。
  1. ④ 次に便座に座り背すじを伸ばしたままで右に振りむくように体を捻っていきます。左手を体の前から回して右のおしりを触るようにします。右手は後ろに回して右のおしりを触ります。
    体を回すときは腰を回そうとせず、みぞおちから回すようにします。ゆっくりとした鼻鼻呼吸を続けながらこの姿勢をキープして便意を伴う大腸の動きを待ちます。
  2. ⑤ しばらくしたら逆捻りを行い、何度か繰り返します。ここでのポイントはゆっくりと待つことです。朝などあわただしくて気が急いているかもしれませんが、焦っては出るものも出なくなってしまいます。時間と気持ちにゆとりをもって試みてみましょう。

①~③、④⑤をそれぞれ単独で行っても良いでしょう。