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2018.01.02

hat’s HSP ?    矢澤 淳良


hat’s HSP?

皆様 あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。

矢澤さんグラフィックス1

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ルノアール作 ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏場

たんぱく質として1人前に働いてもらうためには、アミノ酸が紐状に連結しているポリペプチドを折りたたんで立体構造にする必要があります。その手助けをするHSPを特に分子シャペロンと言います。この絵は、真ん中の女性が手前の若い女性の社交界デビューをエスコートしている様子を描いていますが、女性が被っている帽子のことをフランス語でシャペロンというそうです。

 

細胞骨格

 

人体には60~100兆個の細胞があり、1つの細胞中に80~160億のたんぱく質分子が存在しているそうです。そして、毎秒数万回の化学反応よる原子の組み換えが行われていると言われ、その反応を遂行している分子が酵素なのです。

細胞骨格は細胞質に存在し、細胞の形状維持や、運動に必要な力を発生させる機能を持つ細胞内の繊維状たんぱく質分子で、アクチンフィラメント、中間径フィラメント、微小管の3種類があります。

 

たんぱく質

 

人体の約70%は水分で、15%強がたんぱく質、15%弱が脂質、その他僅かな炭水化物が存在すると言われています。

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が鎖状に結合して長い紐になっています。たんぱく質としての機能を発揮するためには、長い紐が折りたたまれて立体構造を形成する必要があります。HSPは、この折りたたみを手伝っている分子なのです。

アミノ酸は、水に溶ける親水性と、水を弾く疎水性に分けられます。折りたたまれる際、疎水性アミノ酸を内側に配置し疎水結合させ、親水性アミノ酸を外側に配置して水分中に存在し易くしています。

矢澤さんグラフィックス2

 

 

 

 

 

 

 

 

たんぱく質の変性

 

人体にストレスが掛かりますと活性酸素が発生し、たんぱく質を攻撃して変質させます。その結果たんぱく質の内側に位置していた疎水性アミノ酸が露出し、露出した疎水性同士が凝集してしまい、たんぱく質としての機能が失われ細胞の破壊、病気の発現に繋がります。

HSPは、変性たんぱく質同士の凝集を防ぐ役目や修復すれ役目を担っており、同時にたんぱく質が機能を発揮できるような立体構造を構築する手伝いもしているのです。

グラフィックス13

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HSPはストレスを認識する

 

生命は約40億年に及ぶ進化の過程で、ストレスに対抗して生命を維持するたんぱく質を守るために、HSP産生機能を獲得しました。しかしストレスが多すぎますとたんぱく質変性が多発し修復が間に合いません。そこでHSP増産機能が必要になりました。

通常HSPは、heat shock factor 1:HSF-1(転写因子)と結合して不活性になっています。

たんぱく質がストレスで変性しますとHSPはその変性たんぱく質を再生するために結合し、HSF-1を離します。

結果的に、HSPが変性たんぱく質を発見することにより、ストレスを認識したことになります。

矢澤さんグラフィックス4

 

 

 

 

 

 

 

 

 

HSPの機能

 

DNA中にあるHSP遺伝子の前には、heat shock element(HSE)と呼ばれるプロモーターがあります。前術のようにHSPが変性たんぱく質を感知しますと、HSF-1は離され活性化してプロモーターに結合します。身体に小さな刺激を与えますと、HSP遺伝子の発現する機会が増えHSPが増産されるというメカニズムが解明されました。HSPは、変性たんぱく質の修復と感知という2つの機能を有していることになります。

グラフィックス5矢澤さん

 

 

 

 

 

 

酵素が全ての化学反応を促進する

 

HSPとHSF-1はいずれもたんぱく質でDNAに収納されている設計図に従って生産されます。その化学反応にも酵素たんぱく質は不可欠です。必要な酵素を必要な時に必要な量産生するために、細胞内環境を良好な状態に維持しておくことが重要です。

半世紀以上前「腸造血説」を中心とする千島学説を提唱された千島喜久男博士は、「健康の要諦は、氣・血・動の調和である。」と述べておられます。

常に穏やかに生活することを心掛け、不安、心配、怒り等で過剰な活性酸素を発生させないような工夫をし、プラントベース・ホールフード・ローフードの酵素食により血液をサラサラにしておけば末端の細胞までスムースに酸素や栄養を行き渡らせることが可能になります。また、ラジオ体操、乾布摩擦、早歩き、スロージョッキングなど適度な運動によって弱い刺激を細胞に与え続けていれば、HSPの増産を促す結果になり健康不安や病気とは無縁になれるはずです。ご自分で試してみて、実感されることをお勧めします。

なおHSPについて詳しくお知りになりたい方は、講談社 水島徹著「HSPと分子シャペロン」を是非お読みください。

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