皆様 こんにちは。植田尚子です。
さて、私は前にもお伝えしましたように、これまでに急性胃炎から始まり、胃酸過多、逆流性食道炎などと診断され約15年あまり制酸剤、胃薬系を継続的に処方され毎日ではないけれど胃が重くなったり、痛くなるとお薬を飲むという日々でした。だからこの手の症状の方の苦しみはとてもわかります。笑
そんな私が薬を手放した経緯は前にお話しています。
50代に入り、現在の仕事(百貨店のバイヤー)がきっかけで健康のプロを目指して数々の資格を取得しました。
そして、現在も私にとっては必要なことは勉強を続けています。
そんな中で、昨年佐藤章夫先生の「栄養療法」を学びました。
佐藤先生は、「何を食べるかよりもどのように食べるか」が重要であると力説されていました。
私たちは、この食材にはこんな栄養が含まれている。とか野菜は有機野菜や無農薬野菜でなければだめとか
「何を食べるか」、にこだわりすぎて、自分の体内環境に目を向けていないと。
どんな素晴らしい栄養価のあるものを食べても、きちんと消化吸収できないと、消化管は食べ物を口からいれて肛門から便を出すだけの土管に過ぎないといつもおっしゃっていました。
栄養素の消化と吸収が健康の90%を決める。
その鍵の1つは、過日お伝えした胃酸の分泌が正常かどうかです。
今日お伝えすることは、たべものの最終的な形である便に至るまでの過程のお話です。
一般的に、消化分解能力があり、食材にも偏りがない食生活を送っている場合には、 1日平均2-3回の腸の動きがあるそうで、慢性的な便秘症や下痢の方では、1日に全く腸の動きがない方が少なくないそうです。その背景には以下のような原因が潜んでいることが考えられます。
1、繊維質の不足
言うまでもなく、繊維質は不要な物質を体外に排泄促進してくれるだけでなく、腸を適度に刺激し腸の動き(ぜんどう運動)を促してくれる第6の栄養素です。食物繊維は腸内環境を整える菌バランスにも貢献しますね。
2、マグネシウムの不足
マグネシウムは繊維質同様に腸のぜんどう運動を促してくれるミネラルです。医薬品の下剤として使われる素材もマグネシウムで、大腸検査の時に1-2リットル飲まされる下剤の主成分はマグネシウムですし、「にがり」がダイエット商材になるのもこのマグネシウムが豊富にふくまれているからです。
興味深いデータとして、佐藤先生の栄養医学研究所でこの5年間に実施している爪によるミネラル検査の統計を取ってみると、20-35歳の年齢層の女性と65歳以上の女性でマグネシウムの体内蓄積量が著しく少ない傾向があるそうです。20-35歳の年齢層の女性といえばダイエットには最も興味の高い年齢層ですが、同様に便秘症で悩む年齢層でもあります。
3、便の排泄までの時間
皆さんは自分が食べたものが消化分解され、どのくらいの時間で便となって排泄されるか考えたことがありますか? もし、食事を十分噛んで食べることができ、消化分解の働きが良く、胃酸の分泌も正常であった場合、 12-24時間で食べたものが排泄されるのが一般的です。
特殊な症状を持った場合を除き、慢性的に便秘の方の場合この時間が長く、36-40時間、場合によっては90時間以上もかかる方がいます。
逆に10時間以内に出てしまう場合もあります。それは、適正な消化吸収が行われていなく、食べたものが体内を通過しているだけの可能性もあります。
そこで、ご自分の体内の状態を知る、セルフチェックの方法をお伝えします。
これはBTT テスト(Bowel Transit Time 腸の通過時間)と言い佐藤先生から教わりました。
1、準備する材料
・食用活性炭または赤大根(ビーツ)、または黒ゴマ
食用活性炭は最近健康食品でも販売されていると思います。赤大根(ビーツ)は真っ赤な大根で、ロシア料理には欠かせない素材で、最近スーパーマーケットでも見かけるようになりました。
黒ゴマは塩を含まないもの。
2、方法
①空腹時
食用活性炭は5-10g(5,000-10,000mg)、赤大根(ビーツ)であれば3-4個を生で食べてください。黒ゴマは30gをかまずに飲みます。
必ず空腹時に。食後であれば2-3時間は空けてください。
②上記の素材を摂取した時間を記録しておき、その後に排泄した便を注意深く観察していてください。食用活性炭や黒ゴマであれば真っ黒な、赤大根(ビーツ)であれば明るい
赤色の便が排泄されるまでの時間を確認してください。
3、判定
①12時間以内に確認できた場合
あなたが日常食べている食材やサプリメントからは栄養素が全て吸収されていない可能性が高く、慢性的にこのような状態である場合には慢性栄養吸収障害に陥っている可能性もあります。
②12-24時間で確認できた場合
最適な消化分解を経て腸のぜん動運動によって排泄される時間です。
③24時間以上
24時間以上経過しても確認できないケースの場合、食材が正しく消化分解されぜんどう運動によって正しく腸を経ていないことが考えられます。
このような場合には本来体外に排泄されるべき不要なまた有害な物質が長時間体内に留まるために様々な影響を及ぼすことが考えられます。
ホルモンもその1つで、不要になったホルモン(例えば女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンなど)は体内で分解されそのほとんどが便に混ざり排泄されます。 もし、腸の中に長時間便が留まってしまうことによって、不要になったホルモンが再び体内に吸収されてしまうことがあり、女性の場合にはエストロゲン依存性のガンに深くかかわってくるのだそうです。 また、腸内の乳酸菌と大腸菌、カンジダ菌などとの環境のバランスを崩すことによって、アレルギー症状、化学物質過敏症などを引き起こす原因にもなります。
このような症状は腸管壁の炎症が原因で発生するリーキガットが起因している可能性もあります。
少なくとも24時間以上を経なければ食べたものが便となって排泄されないような状態は好ましいとは言えません。今の食生活を少し見直してみることをお勧めします。
繊維質(穀類、玄米、緑黄色野菜)を毎食1-2品は食べ、しっかり噛んで食べましょう。
酵素食をメインにすれば問題ないですね。 次に、水分を豊富に摂りましょう。と言ってもコーヒーや炭酸飲料水ではいけません。1日に春ー夏では少なくとも1-2リットル、秋ー冬では1-1.5リットルは飲むようにしましょう。
そして、1週間に最低でも15分以上の全身運動を心がけましょう。
佐藤先生は、サプリメントや健康食品に依存することはあまりお勧めしていませんでした。
マグネシウムやファイバーサプリメントなどを飲めば一時的には問題は解決できるかもしれませんが、 サプリメントに対する依存性が高くなることで、人間が本来持っている腸のぜんどう運動の能力が低下して慢性的症状を生み出すことがあるからだそうです。
佐藤先生から多くの事を学ばせていただきました。
なかで自分の状態を知るセルフチェックの方法はとても貴重なことです。
そんな佐藤先生が 今年7月に急逝されました。とても残念なことですが、佐藤先生から学んだ貴重なことを少しずつ皆さんにお伝えしていきたいと考えています。
ご自分の消化吸収力の実態を知って、健康へのアプローチを心がけてください。