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2017.11.05

好物が肉類 大丈夫


オートファジー

「THE CHINA STUDY」邦訳書名「葬られた第二のマクガバン報告」の著者アメリカコーネル大学教授のコリン・キャンベル博士が来日され、10月22日品川コクヨホールで講演をされました。

博士は、中国における大規模な疫学調査と動物実験等を繰り返し、1日に摂取する動物性たんぱく質が少ないほどガンなど生活習慣病の発生が少ないことをつきとめました。特に発ガン物質であるアフラトキシンを与えたラット実験では、1日に摂取するカゼイン(牛乳中に87%含まれています)という動物性たんぱく質が、総摂取カロリーの20%を超えた場合100%がんを発症し、5%以下ならば発症率は0%であることを解明しました。

講演後の質疑応答で、「動物性たんぱく質の摂取量が20%を超えた場合、どのようなメカニズムでがんを罹患するのか説明してほしい。」との質問がありました。

博士は、いくつかの理由を述べておられましたが、私は、オートファジー機能が最も的確で分かり易い説明になるのではないかと考えています。

 

飢餓に打ち勝つ仕組み

昨年ノーベル医学・生理学賞を受賞されました大隅良典博士の受賞理由は、細胞内の分解系であるオートファジー分子機構の解明でした。

細胞が飢餓に直面した場合、生命維持のために必要不可欠な物質はたんぱく質です。たんぱく質合成には20種類のアミノ酸が必要なのですが、実は自分の体内から調達できるのです。その仕組みを解明されたことが評価され、今回の受賞につながったとのことです。

 

矢澤さん11月5日人体の構成成分は約60~70%が水分で残りの約半分がたんぱく質といわれます。飢餓に直面し栄養素の摂取ができない状態で、生き延びる為に必要不可欠な物質はたんぱく質(私は、酵素とヘモグロビンの主要素であるグロビンであると考えています。)です。

オートファジーは、40億年に及ぶ進化の過程で人類が獲得した飢餓を乗り切るための機能であることが解明されました。細胞内のたんぱく質を一網打尽に分解して、最も必要とするたんぱく質合成に必要なアミノ酸を確保する仕組みです。

 

 

 

 

生命に直結する酵素たんぱく

 

人体に60~100兆個存在すると言われます細胞1個の中に80~160億個のたんぱく質分子があり、1秒間に数万件の化学反応が行われていると考えられています。生命維持のためには細胞内の代謝が滞りなく遂行される必要があり、代謝の主役は酵素たんぱく質なのです。

すなわち、生存のために代謝を継続的に繰り返す必要があるわけですが、基底レベルのオートファジーを常時機能させることが前提になります。

基底レベルのオートファジーを抑制する要因が2つ考えられます。1つはインスリンです。インスリンは血中のブドウ糖を細胞に取り込み血糖値を下げるホルモンですが、同時にたんぱく質や脂肪の合成を推進する役割も担っています。インスリンが分泌されますとたんぱく質を合成する方向にスイッチが入りますので、オートファジーは抑制されます。

消化されますとブドウ糖になる砂糖類や精製された穀物類は急激に血糖値を上げますのでインスリン分泌量が増加し、結果的にオートファジーを抑制します。

2つ目は、細胞内の遊離アミノ酸です。細胞内に必要十分なアミノ酸が存在すれば、細胞内のたんぱく質を分解してアミノ酸を確保する必要が無くなります。総摂取カロリーの20%を超えるような過度の肉食は、オートファジーを抑制します。

オートファジーが機能しませんと細胞内は不要になった或いは変性して機能を失ったたんぱく質が過剰になり、恒常性が失われてあらゆる生活習慣病の発症につながります。

 

心配することなく自信をもって断食する

オートファジーは人類誕生以来危機的飢餓を克服するシステムでしたが、飽食の時代となった現代、機能を発揮する機会が極端に減少し様々な病気を生んでいます。

キャンベル博士の研究により、原因は動物性たんぱく質の多食であることが明確になりました。

また、大隅博士の研究によってオートファジー機能を十分に発揮させるように食習慣・生活習慣を改善すれば病気の改善、病気予防にも有効であることが分かりました。

日頃からプラントベース・ホールフード・ローフードの酵素食を実践している人が美味しい肉類が食べたくなった場合は、我慢してストレスを溜めるよりも楽しく食して次の日に断食しオートファジーを働かせれば、健康を損ねることは防止できると考えます。

当協会はファスティングのノウハウをお伝えする活動も行います。興味のある方はお問い合わせください。

心配や不安は、ストレスの原因になります。ストレスは過剰な活性酸素の産生につながります。何事にも喜びを見出し、楽しく生活することは健康長寿のために不可欠なのです。

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