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2017.07.04

メスのいらない手術  理事長 矢澤淳良


フランスでは、ファスティング(断食)を「メスのいらない手術」というそうです。

 

矢澤さん7月

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たんぱく質の役割

 

人体は、60兆或いは100兆ともいわれる数の細胞で構成されています。動物組織を分析しますと、水を除いた場合約15%がたんぱく質、13%が脂質、3%が無機質、2%が炭水化物と核酸です。この分析結果からも、たんぱく質は細胞の構成要素として極めて重要な分子であることが読み取れます。

一般的な細胞の大きさは、10~100μm(1μmは1000分の1㎜)ですが、その中に、なんと80億個以上のたんぱく質分子が存在しているそうです。そして生命を維持するために、想像もできないようなスピードで化学反応による原子の組み換えが行なわれているのです。その全ての化学反応を遂行する役割は、たんぱく質の1種である代謝酵素が担っています。すなわち代謝酵素は、生命維持に不可欠なたんぱく質といえるわけです。

 

たんぱく質とは

 

たんぱく質は、20種類のアミノ酸が鎖状に結合したペプチド鎖と呼ばれる物質で構成されています。ある細胞が必要とするたんぱく質は、その細胞の細胞核中にあるDNAに収納されている設計図に従い産生されます。細胞質中にあるリボソームと呼ばれる組み立て工場(細胞小器官)で、たんぱく質の基となるポリペプチド鎖(沢山のペプチドが連なった物質)の形で生成されます。

ポリペプチド鎖が2次構造と呼ばれるらせん状(αヘリックス)や平面状(βシート)を経て、3次構造と呼ばれる立体構造に組み立てられて初めて機能の発揮できるたんぱく質となります。

 

アミノ酸の供給

 

人体内の細胞数を60兆個と仮定し、入れ替わる日数を平均60日とした場合、細胞は毎日約1兆個が分解され、同じ数合成されという新陳代謝を繰り返しながらホメオスタシス(恒常性維持)に努めています。

この反応に必須となる代謝酵素を合成するため20種類のアミノ酸が必要ですが、食事により栄養素が供給されているときには、細胞は十分な量のアミノ酸をプールしておくシステムを備えています。

ところが飢餓や断食で栄養素の供給が途絶えた場合、細胞はどのような方法で必要なたんぱく質を合成するのでしょうか。

矢澤さん7月2

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2016年ノーベル医学・生理学賞に輝いた大隅良典東工大教授の愛弟子、東京大学医学系大学院教授水島昇博士がオートファジーのメカニズムを分かり易く解説した本を出版されました。

オートとはギリシャ語で「自分」を意味し、ファジーとは「食べる」を意味するそうです。日本語では、「自食作用」と訳されています。

細胞の生命維持に必須なたんぱく質を合成する材料である栄養素のアミノ酸の供給が飢餓や断食などで中断された場合、とりあえず必要なアミノ酸を確保しなければなりません。そのために、細胞内の物質をランダムに分解するシステムが存在します。その機構が、オートファジーなのだそうです。

オートファジーで得たアミノ酸を利用して、その時点で最も重要なたんぱく質(多くは代謝酵素ではないかと私は考えています。)を合成するのです。その他に、エネルギーとしての利用や糖新生の材料にも利用されます。

また、細胞内に蓄積している、古くなり機能が低下したたんぱく質や壊れたたんぱく質、外部から侵入したウイルスやバクテリアも分解されます。その結果得られてアミノ酸を利用して、生命維持に必要なたんぱく質を新たに合成します。細胞内をクリーニングして刷新することも、重要な機能の1つです。

 

食環境変化の影響

 

人の細胞は、水を除きますと半分以上がたんぱく質で、その働きによって生命を維持しています。しかし古くなり劣化しますと変質してしまい、たんぱく質の機能を失います。

通常は古い細胞を分解に導くアポトーシスというリサイクルシステムや、平常のオートファジーが機能して細胞の品質管理をし、恒常性を維持しています。

ところが、飽食の時代となった現代、動物性たんぱく質や血糖値を急激に上昇させる糖類の多食により細胞内浄化作用が間に合わず、老廃物蓄積により細胞が機能不全となり、様々な生活習慣病を発症させる原因になっていると考えられます。

 

簡単な確認法

 

オートファジーのメカニズムが解明される前までは先人の経験から、「断食は身体をリフレッシュし、病気をも克服できるメスのいらない手術であるが、食を断つということは生命に係わる危険を伴う。」と言われていました。

飢餓や断食で栄養素の供給が断たれたことを感知しますと最初にオートファジーが働き、細胞内の物質をランダムに分解してアミノ酸を確保し、生命維持に必要なたんぱく質を再構築します。このシステムが解明された今日、生命の危機を心配することなく気軽にファスティングを実施することが可能になりました。細胞内をリフレッシュし、病気治しや健康維持が楽しみながらできるようになったと思います。

水島博士は、24時間の断食でオートファジー機能が平常の場合に比べかなり活発になると述べておられます。

例えば午後6時に夕食を済ませて、次の日の朝食は果物か野菜サラダ、野菜ジュースのみにしておけば、昼食まで約18時間のプチ断食になります。この間にオートファジーが機能し、細胞のクリーニングができるはずです。

健康維持のために、当協会が推奨する酵素食や酵素ファスティングを試して、ご自分でその絶大な効果を実感してください。満足していただける結果が得られると、確信しています。

 

 

 

 

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