ホルミシス・ストレス応答   理事長 矢澤 淳良

2017年07月31日

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72年前の1945年8月6日広島(左)、8月9日長崎(右)に投下された原子爆弾のキノコ雲
我が国を取り巻く現状

 

北朝鮮は、国際連合の世界平和希求努力を無視し、弾道ミサイルの開発、原子爆弾の実験等により、国際社会とりわけ我が国など近隣諸国へ脅威と不安を与え続けています。

また、東日本大震災に引き続き発生した福島原発事故も、近隣住民のみならず世界中の多くの人々にストレスを与え続けています。

LNT(閾値のない直線仮設)

平常時の放射線安全基準値は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づいて、年間1mSv(1ミリシーベルト)末満となっています。1927年アメリカの遺伝学者H.J..Muller博士は、雄のショウジョウバエにⅩ線を照射し、突然変異リスクを調べた実験を行い、しきい値無し直線仮説(Linear Non-Threshold:LNT仮説)を提唱しました。放射線はたとえ微量でも有害で、安全な線量域はないとする説です。基準値の策定は、この仮説に基づいています

 

放射線ホルミシス

元ミズリー大学のトーマス・D・ラッキー博士はNASAの依頼でアポロ計画(1961~1972〉に参画し、地上の100倍ともいわれる放射線(宇宙線)を被曝する宇宙飛行士への健康影響について研究を行い、1982年12月、「Health Physics Journal」(米国保健物理学会誌1982.12号)に論文を発表しました。結論は、「微量の放射線は免疫力を高め、生殖力など生命活動を向上させる」というもので、後にこの説は、「放射線ホルミシス」(ギリシャ語の”ホルメ(刺激する〉”に由来)と呼ばれるようになりました。

チェルノブイリ・福島の今

1986年4月26日、旧ソ連領チェルノブイリで世界史上最悪の原子力災害が発生しました。当時ソ連政府は半径30キロ圏内の住民13万人全員を避難させ原発周辺を「立ち入り禁止区域」に指定しましたが、住民が自宅へ戻るのを止めることはできませんでした。

そして今も高齢者を中心にウクライナ人数百人が「死のゾーン」と呼ばれる区域内に居住し続けており、驚くほど牧歌的な生活をしているそうです。

事故から1月もしないうちに原子力発電所から18キロしか離れていない立ち入り禁止区域内の自宅に戻り、以来25年そこから動いたことのないお年寄りの1人は、「草の香りもいいし、夏にはいろんな植物が真っ盛りになります。森で採れるもの、キノコやベリー類、何でも食べています。放射能は感じません。トマトやキュウリ、ジャガイモも育てています。何でも食べるし、何も心配していません。」と快活に語られたそうです。

福島原発事故20キロ圏内立入禁止区域にある福島県双葉郡富岡町の自宅に事故後数日で戻り、以後自給自足で生活を続けている人がいます。農家の5代目で、松村直登さんといいます。

 

 

 

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上の写真は、宇宙航空研究開発機構の職員が、現地訪問時測定した放射線量です。毎時6.917マイクロシーベルトを年積算量にしますと、60.59ミリシーベルトになります。安全基準に掲げられている線量は年間1ミリ・シーベルトで、蓄積数が100ミリ・シーベルトを越えますと人体に影響が現れるとされています。

報道によりますとイノシシを始め野生動物が繁殖し、雑草が生い茂っているようです。

動物や植物も、人間と同じ多細胞生物です。微量な放射線が、人間にだけ悪影響を与えることは無いことを示していると言えるのではないでしょうか。

では、どの程度の放射線なら安全といえるのでしょうか。

報道されない驚きの研究結果

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1996年、カリフォルニア大学名誉教授のマイロン・ポリコープ博士(DNA研究核医学会の大御所)とルードヴィッヒ・ファイネンデーゲン博士(放射線分子生物学の創設者)らが共同研究で、ヒトの細胞は活性酸素との戦いで、1個の細胞あたり毎日100万件のDNA修復活動を行っていることを明らかにしています。また、2006年アメリカのヴィレンチック博士が発表した研究結果は、数百種類の酵素による修復やアポトーシスによる異常細胞除去のため、自然放射線の10万倍から300万倍(10mSv/時~300mSv/時)付近で、DNAの突然変異が最低になることを示しました(上図)。

HSP・オートファジー

HSP(Heat Shock Proteinは、たんぱく質機能の獲得、修復、分解を担当する、たんぱく質分子で構成される物質です。鎖状に結合した長いポリプチドをたんぱく質の機能を持つ3次元の立体構造にするHSPは、分子シャペロンと呼ばれます。生命の誕生以来、何億年にもわたる進化の過程で多細胞生物が獲得した生命維持のシステムです。

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絵画 ルノワール作 ムーラン・ド・ラ・ギャレット

 

中央の帽子をかぶった女性が、手前の若い女性をエスコートしています。中世ヨーロッパでは社交界にデビューするお嬢様をエスコートするお世話係の年配女性を、シャペロンと呼んだそうです。シャペロンとは、もともと帽子を表す言葉のようです。

オートファジーは、2016年ノーベル医学生理学賞を授与された大隅良典博士によりメカニズムが解明された、生物が飢餓に打ち勝つ目的のために獲得した機能です。

HSPとオートファジーを最大限活性化することは、人を形成する分子、オルガネラ(細胞の中、細胞質に存在する細胞小器官)、細胞、組織、器官などの保護に寄与し、健康の維持増進、病気の回復に極めて有効であると考えられます。

人が健康を害する或いは病気になる原因は、過剰な活性酸素の発生であると言われています。活性酸素は、様々なストレスにより生じます。

ストレスには、物理的、化学的、生物学的、精神的などの種類がありますが、それらを抑制するシステムとしてHSPとオートファジー機能が備わっているのです。

HSPは、小さな刺激を細胞に与えることにより増産されることが明らかにされてきました。例えば毎日汗ばむ程度の運動をする、風呂に入るなどです。放射線も物理的ストレスになりますが、微量な放射線は、HSPを増やすために有効であると考えられます。

人類は、誕生以来飢餓との戦いを続けてきました。人間は、水分約70%、脂質約15%、たんぱく質約15%、糖質・塩基約1%で構成されています。また、60兆或いは100兆ともいわれる細胞で出来ていますが、1個の細胞中には約80億個のたんぱく分子が存在し、毎秒数万回の化学反応により新陳代謝し特にたんぱく質の分解と組み立てが行われていると言われています。ではこのたんぱく質の材料である20種類のアミノ酸をどのように調達するのでしょうか。平常は食物から20~30%を取り入れ、残りの70~80%はリサイクルしているそうですが飢餓になりますと食事として取り入れることができません。この場合は細胞中のたんぱく質を分解して必要なアミノ酸をそろえ、生命維持に最も重要なたんぱく質(代謝酵素とヘモグロビンだと思いますが)を合成しているのです。これが、オートファジー(自食作用)と呼ばれるシステムです。

オートファジーは、自らを飢餓の状態にする、すなわちファスティングをすることによって機能が最大になり、結果的に細胞内の老廃物除去に効果を発揮してくれます。

基底レベルのオートファジーは、細胞にたんぱく質を合成する遊離アミノ酸が十分に存在するときやインスリンが分泌されているときには抑制されます。

小さなストレスで健康生活

良い生活習慣、食習慣は、健康に直結し、病気予防の基本です。

喫煙、運動不足、深酒、間食、夜8時以降の食事、加工食・加熱食の多食、市販薬の多用、過剰な不安・心配などは、活性酸素を大量に発生させる原因になります。

心穏やかに、適度な運動をし、特に動物性たんぱく質、精製された砂糖類や穀類の多食を避け、プラントベース・ホールフード・ローフードの酵素食を中心にした食事を続けていれば、生活習慣病罹患や健康阻害を心配する必要は全くありません。体の不調を感じた場合は、直ちに1~3日のファスティングを行い、生活習慣、食習慣を見直してください。必ず改善できるはずです。

 

 

酵素ってなんだろう?

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