「不適切な食習慣とは」を説明するオートファジー機能の解明

2018年01月28日

 

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マクガバンレポートは、1977年アメリカ上院健康問題調査特別委員会報告として上院が公表した5,000ページを超える書類といわれています。当時国家予算を圧迫していた医療費を、極力縮小させる目的で国民の健康問題を2年間にわたりあらゆる角度から調査し検証した報告書です。

その審議調査の結論はいくつか出されましたが、次の2つが最も重要な結論でした。

  1. がん、心臓病、脳卒中などアメリカの六大死因となっている病気は、肉食を中心とした現代の不適切な食生活が原因になって生じる〝食源病″である。この不適切な食生活を改めてこれらの病気を予防する以外に国民が健康になる方法はない。
  2. 現代の医学は薬や手術といったことだけに偏り過ぎた、栄養に盲目な片目の医学であった。栄養に盲目でない医学に作り変える必要がある。  アメリカ上院における調査研究と著しく異なる点は、近藤博士お一人で1935年以来36年間の歳月を費やし 、全国津々浦々、辺境な地もご自分の脚でお歩きになり、およそ990町村を踏破され各地の自然環境、生活環境、食環境、古くからの風習、言い伝えなど幅広い疫学調査研究を実施されたという驚くべき事実です。
  3.  そして得られた結論は「病気になる原因は、動物性たんぱく質の多食、精製された白砂糖や白米の多食等悪い食習慣である」ということでした。例えば動物性たんぱく質を多食する町村には心筋梗塞等で早死にする人が多く、精製された炭水化物を多食する地域には脳溢血等で若死にする人が多数出る等です。
  4. ところが、東北大学衛生学教授を務められた近藤正二博士は1972年、ほとんど似たような研究結果をすでに発表されていました。長寿の地域と短命の地域が存在する理由を明らかにすることによって、健康に役立てる方策を追求する調査の過程で、食べ物も影響するのではないかとの予想に反し、食べ物が一番の決め手になる原因であったことを確信されるに至ったのでした。
  5. 「がん、心臓病、脳卒中をはじめ国民を苦しめている多くの病気がなかった時代の食事に戻す必要がある。」と述べられているそうです。

研究の特徴は著書「日本の長寿村短命村」の中で詳しく述べておられますが、難しい理論ではなくご自分の脚で現地を訪れ、目で確かめ多くの人からその土地に伝わる風習等を克明に聞き取り調査した結果導き出された結論です。例えば、女性を働かせると旦那が笑われるとか、逆に男性を働かせると嫁として失格だと言われる風習などです。特筆すべきは、子供が親より早死にする珍現象の解明を依頼されたハワイにおける日系移民の実情調査です。先生が訪問され食事を共にされた家庭では、食卓に様々な料理が並んでいて1世、2世は野菜や穀物類を中心に食事するのに対し、3,4世は肉を主に食べ野菜類にはほとんど手を付けなかったそうです。そこで野菜は嫌いですかと質問してみると、土人が食べる食物だから食べないとの答えでした。小柄でも長寿の1、2世に対し欧米人並みに成長した3、4世の短命の理由が解けたと述べておられます。

世界的にも類を見ない優れた研究結果ではありましたが、何故か当時の政府はこの研究を無視して国民に知らせられることもしませんでした。

 

人体は約70%が水分、残りは脂肪とたんぱく質が約半々で炭水化物等がわずかに含まれるという構成配分です。60兆から100兆の細胞で出来ており、1つの細胞中には約80億個のたんぱく質分子が存在し毎秒数万件もの化学反応を繰り返すことにより生命維持のための新陳代謝が遂行されていると言われます。その化学反応の主役は、たんぱく質である酵素なのです。

飢餓により食物が枯渇しますと人体は生命維持に必要なたんぱく質を確保するために自分のたんぱく質を分解して酵素など重要なたんぱく質合成の原料となるアミノ酸を確保する必要があります。その機能は、オートファジー(自食作用)と呼ばれます。「オート」はギリシャ語で「自分」を意味し、「ファジー」は「食べる」の意味だそうです。すなわち、オートファジーは生物が40億年にわたる進化の過程において獲得した、飢餓に打ち勝つための重要な機能であると説明されています。

大隅良典博士は、2016年オートファジーメカニズムを解明された功績によりノーベル医学・生理学賞を受賞されました。

飢餓の時に限らず基底レベルのオートファジーは常に機能していて、体内で不要になったたんぱく質を分解しアミノ酸をリサイクルして必要なたんぱく質を生成していることも明らかにされていますが、オートファジーを抑制する要因が2つあります。

1つは、アミノ酸です。細胞内に遊離アミノ酸が十分存在していますとそれを材料にして何時でもたんぱく質を合成することが可能です。わざわざたんぱく質を分解して、アミノ酸を確保しなければならない理由はありません。その場合、役目を終えたたんぱく質や変性して機能を失ったたんぱく質を分解する基底レベルのオートファジーが働かず、細胞内の浄化が行われないために不要になったたんぱく質が溢れてしまいその結果、細胞が劣化して何らかの体調不良を生じさせる原因になると考えられます。

2つ目は、インスリンです。血糖値が高くなりますとブドウ糖を細胞内に取り込み血糖値を下げる必要があり、すい臓からインスリンが分泌されます。インスリンは、たんぱく質を合成する指令を出す機能も同時に持っています。従って、この場合もオートファジーは抑制されます。

インスリンを過剰に分泌させる食物の摂取や遊離アミノ酸を必要以上に生じさせるような食事、即ち砂糖や精製穀物類、肉類の多食は、細胞を劣化させる不適切な食生活と言える訳です。オートファジー機能の解明は、近藤正二博士、マクガバン報告、或いはがん発症のメカニズムを発見されたアメリカコーネル大学教授コリン・キャンベル博士の調査結果、研究結果等を科学的に裏付けた研究であったと思っています。

 

古代ギリシャの医聖ヒポクラテスは約2400年前に多くの格言を残していますが、教えを実践することが病気の予防、病気の治癒に有効であることを理解するためにもオートファジー機能メカニズムの解明は大変役に立っていると思います。

 

格言の一部を列記しますので、参考にしていただければ有り難いです。

 

「満腹が原因の病気は、空腹によって治る」

「汝の食事を薬とし、汝の薬は食事とせよ」

「歩く事は人間にとって最良の薬である」

「食べ物で治せない病気は、医者でも治せない」

「人間は誰でも体の中に、百人の名医を持っている」

「人間がありのままの自然体で、自然の中で生活をすれば120歳まで生きられる」

「病人に食べさせると、病気を養う事になる。一方、食事を与えなければ、病気は早く治る」

「病気は、人間が自らの力をもって自然に治すものであり、医者は、これを手助けするにすぎない」

 

NPO法人日本酵素栄養学協会 矢澤淳良


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